shozaifumei

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死んだあと人生の録画を観れるなら全部捨てて生きていけるのに。

あと一か月もしないうちに引っ越すけど、おとといから家計簿をつけ始めた。
先月とかは記憶に紐付くものを除いてばりばり捨てていたのだけど、ノートが5冊ぐらい余っていたのと、どうにか整理できないものかと思っていたのとで、とつぜん思いついてやってみた。

レシートをセロテープでノートに貼るだけ。これなら書く面倒もないし、セロテープでぺたぺたしていくのは案外、苦じゃなかった。それに、レシートをまとめて束にしておくよりも、一冊のノートとして形になっていくのは精神衛生上よかったみたいだ。
一日一ページ。何も買ってない日は、翌日を詰めないで空白のページを設けてみる。その日は何も買ってないと一目でわかる。

レシートを見返すと、どんな気持ちでそれを買ったか思い出せる。
ちょっと違うか。
それを買った当時、自分がどんな状況にいて、どんな気持ちだったか思い出せる。思い出す材料になる。記憶をたどる懐中電灯みたいな。レシートに限らず、日記とか写真とかモノとかも全部そうだ。

思い出したくない気持ちを思い出す。でももう二度と繰り返したくないことについては、戒めとしてあえて目に入るところに置いておく習性が私にはある。思い出したくないけど覚えていたい。覚えていたいけど思い出したくない。こんなことをしなくても、もう充分学んだ、私は同じことは絶対にしない、とも思う。戒めを必要とするのは、これからの自分を信じていないことになるんじゃないかと思うこともある。でも信じていても、念のためだ。信じていても念のためだ。

戒めとしてだけだはなくて、単純に過去のことを思い出すアイテムとして使えることもある。このアイテムを捨てたら、ほんとうにいつか偶然思い出すきっかけがないと死ぬまで思い出さないんじゃないかと思うと寂しくなって、捨てられない。忘れていけよとも思う。全部持っては生きていけない。過去のことなんて忘れていけ。メモも日記もカメラロールも。失くす前に捨てたい。死んだあと人生の録画を観れるなら全部捨てて生きていけるのに。
前もって教えてほしい。
でもそういうシステムがあったら、きっとあの世でも過去のことばかり振り返って引きこもりそうだ。

ついでに映画などの半券ノートもつくった。半券もこのノートを思いつくまでのものたちは捨ててしまった。スケジュール帳に貼ってしまおうかとも考えたけど、普段開くものが分厚くなるのがいやだったから専用のノートをつくった。半券も記憶の懐中電灯になるのだけど、なぜかレシートほどの光の強さはなかった。何故かはわからない。映画のほうが、なんでそれを見ようと思ったかという気持ちが当時の状況と紐づいていそうなものだけど。食べ物とか、生活に密着したレシートのほうが記憶と結びついてるのかもしれない。