shozaifumei

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白昼徘徊

必要な書類を学校で発行しなければならなかった。

今日は土曜日。

学校の前で不穏な空気が漂っていた。私はイヤホンを外して備えた。

「何?」

正門に立っていた見たことのない男性職員が、鬱陶しそうな口調でそう言い放った。

「成績証明書を発行する機械を使いたいのですが…」

「あー、受験で規制かかってるから、多分無理だね」

たぶん?試しにちょっと見てきていいですかとは言えず、

あ、そうなんですね、わかりました、と幽霊みたいに言い残して、私は別のルートから入れるだろうと画策して、校舎の裏に回った。

そこにも立ち入り禁止規制。行こうと思えば行けるけど、

見つかったらいろいろと危うい気がした。事務室側にも回ってみたけれど結果は同じ。

私はしばらく座り込んで頭の中をぎゅうぎゅうにして落ち着けようとした。

 

私は学校の事務室に電話をかけた。

いがいとすぐに出てくれたのは、総務部のおばあさんだった。

総務部なら、詳しく知ってそうだ。

「すみません。ちょっとお聞きしたいことがあるのですが、本日証明書発行機器は使えますか?」

「いま規制中なので、規制が解除されるまでは、そうですね、使えません」

「規制はいつごろ解除されますか」

「3時半…4時頃を見といたほうがよろしいかと…」

 

 

電話を終えて、一息つく。

話すのが比較的楽な人でよかった。私は電話が苦手だ。

現在、午後1時過ぎ。

規制解除して証明書を発行できるのは午後4時から。

どうしようか、ちゃんと調べてくればよかった

でもこの書類は月曜日には必要で、月曜の朝にもう一回ここに来るんなら今日もらっちゃったほうがいい。

どこかで、自己PR書というよくわからないものでも作るか。

学校の図書館は閉館だった。

近くに公共図書館があったので、そこに向かった。

 

 

何か食べようと思って、薬局に入った。冷蔵コーナーでにらめっこして、鉄分の入ってる飲むヨーグルトにした。最近、左まぶたの痙攣がずっと止まらない。

 

図書館では鳥のちゅんちゅんと風の凪模様がBGMとして流れていた。閲覧席は満席だった。奥に進んでみたけれど、そこも満席だった。勉強をしている人と、本を読んでいる人がたくさんいた。小学生らしき子も。中学高校生くらいの子も。ちょっと身なりがギャルママっぽい人も。世の中に、こんなに本が好きで、本を活用している人がいるのだということがちょっと嬉しかった。

図書館の雰囲気が好きだ。あと、本を検索して、目的の本棚まで行って、ID辿ってる時のライブ感というのか、それが好きだ。

私は中学生以来、文字が目の上で滑るようになり、それから本を読む習慣がなくなった。読みたいと思った本も1ページも開けずに積んである。たまに読める日は調子がいい。

 

市内共通の図書カードがあると席を予約できるみたいだったけど、カードも忘れたし、受付の人と話す元気もなく、近くにある別の図書館に行く気力もなかったので、散歩した。

 

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一人用のベンチ

 

 

ここに前にも来たことがあった。

昼休みや、空きコマに

とにかくどこかに行きたくて

お気に入りの場所を見つけたかった

 

踠きだったのかもしれない

 

散歩は私にとって、一種の自傷行為だったのかもしれないと最近思い始めた。

気晴らし、現実逃避、できること、やりたいことやりたくないことやれることやれないこと。

足が痛くても、家に帰りたくても、時間の無駄でも、数百円の電車賃しか変わらなくても、楽しくなくても、ずっと歩いていた。

そのつもりがなくても知らないうちにしていることもある。絶対に人を巻き込まないように自分を戒める。静謐な空間を見つけて感動したこともあった。でもそれを共有したいと思うことも時に身勝手なことなんだ。思い出とクソが同時に存在する朝日だってある。